復活なさったイエスは天に上げられた後、最も忠実な弟子や婦人たちとイエスの母マリアと祈っていました(使徒言行録1・14を参照)。私たちも特にこの5月には、一緒に祈るように招かれています。彼らはどのようにして祈ったのでしょうか。
確かに「心を合わせて熱心に」祈ったと聖書に記されているばかりでなく、さらに皆、栄光に包まれてよみがえったキリストに出会って力づけられていましたが、まだ公然と他のユダヤ人に立ち向かう勇気が足りなかったようです。そのような状態にあった彼らはどんな祈りをしたのでしょうか。それは初代教会の信者にとって模範的な祈り方だった筈ですが…。キリスト教は以後、ローマ帝国の迫害を乗り越えて、主にラテン語とギリシア語に分かれ、奇跡的にあちらこちらへ普及して行きました。

ローマカトリック教会のラテン語の典礼で、12世紀の後半に作られた『続唱』(賛美歌)は、あのエルサレムの百二十人と聖母マリアの祈りを映し出しているとの、信者たちの賛意だったようです。誰が作ったかは不明ですが、ローマ教皇イノゼンジオ3世(1160-1216)の名前がよく挙げられます。その後1570年にローマ『ミサ典礼書』で聖霊降臨が日曜日に割り当てられました。

聖霊、来てください。
あなたの光の輝きで、わたしたちを照らしてください。
貧しい人の父、心の光、証の力を注ぐ方。
やさしい心の友、さわやかな憩い、ゆるぐことのないよりどころ。
苦しむ時の励まし、暑さの安らい、憂いの時の慰め。
恵み溢れる光、信じる者の心を満たす光よ。

あなたの助けがなければ、すべてははかなく消えてゆき、
だれも清く生きてはゆけない。

汚れたものを清め、すさみをうるおし、受けた痛手をいやす方。
固い心を和らげ、冷たさを温め、乱れた心を正す方。

あなたのことばを信じてより頼む者に、尊い力を授ける方。
あなたはわたしの支え、恵みの力で、救いの道を歩み続け、
終わりなく喜ぶことができますように。
アーメン。


この『続唱』は、中世のラテン語の文体で書かれたものですが全世界的な評価を受けました。16世紀の専門家によりますと、なぜそれほどの人気があったかという質問に答えて、特にふたつの理由を挙げています。ひとつは、この祈りは不思議な美味を持ち、明快で簡潔な文体であること。もうひとつは、それぞれの節文が内容豊かであり、対比的手法によって格調高く構成されているためです。

「聖霊、来てください。」という続唱は、ラテン語で12節になっています。それぞれの節はひとつの心の状態を想起させますが、おそらくだれでも、信者であろうとなかろうと、今の自分の気持ちの中で、そのとおりであるとか、そうであって欲しいと感じるに違いありません。
今、どうあるべきか分からない、何のために生きているのか、体力が落ちてきたとか、意志が弱くなったと感じる時、暗闇の中の自分の道を照らしてくれる心の光を切望して、さわやかな憩いを夢見るでしょう。信仰に穏やかに満たされているときもあるでしょうが、純粋に生きて行きたいにもかかわらず、なかなか落ちない汚れを感じる時があるかもしれません。そのような人、あるいは正しい道を歩んでいくための力と、暖かみのある心を欲する人々は皆喜んで、「聖霊、来てください」と祈るでしょう。

主任司祭ハイメ・カスタニエダ

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ハイメ・カスタニエダ司祭のプロフィール
フェルナンデス・カスタニエダ・アルバレス・オソリオ・ハイメ
1931年 スペイン・マドリッド生まれ
1948年 イエズス会に入会し、1958年来日
1964年 叙階
1966年より米国のSaint Louis 大学に留学
1970年から上智大学で教鞭をとる
退官後、2003年カトリック鍛冶ヶ谷教会に赴任