使徒たちからわたしたちへの手紙

カトリック鍛冶ヶ谷教会 教会委員長
ヴィンセント・フェレル 田坂 好生

 巻頭言を書くに当たり、教会共同体を形作った使徒たちがどのようなことを示していたのかを知るよい機会になると思い、使徒たちが共同体に送った手紙を改めて読んでみました。
 新約聖書には21の手紙があり、パウロをはじめとする使徒が大きな共同体へ宛てた複数の手紙、小さな共同体への短い手紙などが収録されています。どの手紙にも共通する部分があり、それを簡潔に伝えているものに「コロサイの信徒への手紙」があります。
 この手紙は、使徒から共同体への挨拶から始まり、ついで共同体が愛を持ってつながっていることについて神に感謝を捧げています。「神の愛によって創造された世界を受け継ぐものとして、キリストによって贖われた罪の赦しを受けたわたしたちが、主キリストの愛によって結び合わされ、神に育てられて成長してゆく」と書かれています。そして、肉の欲望を満足させるものや地上的なものから離れて、日々新にされて真の知識に達するように、と書かれています。地上的なものに目をやり「現実を見なさい」と諭す言葉はわたしたちにとっては、キリストの愛を生きるための束縛になってしまうのです。
 「神によって聖なるものとされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦しあいなさい。主があなた方を赦してくださったように、あなた方も同じようにしなさい。これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。
 この手紙には、どのような精神で共同体を創っていくかが書かれていますが、具体的な形は示されていません。神様が創り出す愛の形は様々で、日々新たにされてゆくのでしょう。
 鍛冶ケ谷教会では、2022年から将来構想委員会が設置されました。わたしたちの共同宣教司牧の将来構想を考えていこうとするものです。そこで私たちは、横浜教区のビジョンからこの教会の将来構想を議論しました。そこに書かれている、梅村司教の示した3つの「力を育てる部門」の設置のビジョンは、この手紙にすでに書かれた、「主キリストの愛によって結び合わされ、神に育てられて成長してゆく教会」です。そしてその力を育ててくださる主体は神様なのです。
 コロサイの教会の人々への手紙は、教会委員長である私にも反省を促しています。私は兄弟姉妹にこのように接していただろうか?私はキリストを身にまとえていただろうか?と反省を迫られたのです。
 新たな年を迎え、日々新にされて真の知識に達するようにと祈り、皆さんに協力を求めたいと思います。是非、足りない私をサポートしてください。この手紙にあるような共同体になるように、と。